ネコノミクスの火付け役~貴志駅のたま駅長~
ネコノミクスの火付け役~貴志駅のたま駅長~
ネコノミクスとは?
2010年代に入ってから、日本では空前の猫ブームが巻き起こりました。
この平成での猫ブームは、「アベノミクス」になぞらえて「ネコノミクス」と言われるようになりました。この言葉は、およそ2015年頃から使われるようになりました。
ネコノミクスの経済効果は、2020年に開催される東京五輪がもたらす経済効果よりも大きく、 2兆円に上る とも言われています。
2017年には、一般社団法人ペットフード協会の調査によって、猫の飼育数が犬の飼育数を上回ったことが発表されました。
ネコノミクスの火付け役は?
和歌山県紀の川市の和歌山電鐵貴志川線貴志駅において、駅長を務めた三毛猫「たま」がネコノミクスの火付け役だと言われています。
たまは貴志駅の売店「小山商店」の飼い猫で、2007年に和歌山電鐵から正式に駅長に任命されました。
終身雇用で、年俸はキャットフード1年分であったとか?!
たまの駅長就任まで
2003年に貴志川線を運営していた鉄道会社が赤字であるために路線廃止を表明しましたが、岡山県を中心に事業を行っているグループが経営を引き継ぐこととなり、和歌山電鐵が設立されました。
このことによって駅周辺が整備されることになったため、たまのいた猫小屋は立ち退きをせざるを得なくなりました。
困った飼い主さんが2006年に社長に「猫たちを駅の中に住まわせてもらえないか」と相談したところ、犬好きであった社長でしたが、社長の発案によって以前から駅の利用者に親しまれていたたまを駅長に任命することが決まりました。
これは貴志駅を無人駅にしたこともたまを駅長にできた背景にあります。
猫に駅長を嘱託した例は日本の民営鉄道では初めてのことでした。
たまに与えられた称号
たまは乗客数の増加、観光へのアピールの功績から、和歌山電鐵から「スーパー駅長」の肩書を与えられ、後に「ウルトラ駅長」へと昇格しました。また、「和歌山電鐵社長代理」の肩書も与えられました。
そして、和歌山県からは「和歌山県勲功爵(わかやまでナイト)」「和歌山県観光招き大明神」などの称号を与えられました。
たまの亡き後
たまは2015年に鼻炎で入院していましたが、同年6月22日に急性心不全のために遠い旅に出ました。
同月28日に和歌山電鐵主催の神道形式による社葬が貴志駅構内で営まれ、社長が弔辞を捧げ、たまは「名誉永久駅長」の称号を贈られました。
そして、和歌山電鐵は貴志駅にある神社のひとつを「たま神社」と命名し、神社にはたまの銅像を2体設置しました。
同年7月22日から8月13日まで、岡山電気軌道の東山線全線において、たまを追悼する特別仕様の電車が運行されました。
たまの死は、海外のメディアにおいても相次いで報じられました。
たまの生誕18周年となる2017年4月29日には、日本と世界11ヶ国・地域でGoogle Doodle(グーグル ドゥードゥル)が、たま駅長仕様になりました。
たまが日本のみならず、世界中の人々にいかに注目され、愛されていたかがわかります。
和歌山電鐵の猫駅長
ニタマ
2012年に三毛猫の「ニタマ」が「貴志駅長代行兼伊太祈曽駅長」に任命されました。
ニタマは子猫だった頃に、交通事故に遭いそうになっていたところを保護されて、三毛猫という縁から駅長見習いに抜擢されました。ニタマという名前は「たまに似た二番目の駅長猫」という意味が込められていて、たまが貴志駅を休む時には「貴志駅長代理」を務めていました。
2014年にたまが「ウルトラ駅長」に昇格したことに伴って、ニタマが「スーパー駅長」を継いで、その後2015年たま亡きあと「たまⅡ世駅長」を襲名しました。2019年1月5日には新設の部長職「マネージャー駅長」に昇格しました。
よんたま
「よんたま」は、ニタマ、SUNたまたま(岡山電気軌道・おかでんミュージアム館長代理)に続く4番目のたまちゃんです。
子猫を保護して困っている人から相談があり、社長面接に受かり2017年に伊太祈曽駅の駅長見習いとなりました。2018年には「伊太祈曽駅長」に就任し、2019年1月5日にニタマが「マネージャー駅長」に昇格するに伴って、「スーパー駅長」に昇格しました。
ニタマとよんたまの勤務日と勤務時間は、和歌山電鐵株式会社公式サイトで確認することができます。